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【What is American football vol.3】超大型契約

コロナウイルス感染者がまた増えてきました。

本来ならば2020東京オリンピックが開幕し、私は見事当選したチケットを握りしめて新国立競技場へと向かっていたでしょう。


チケットといってもネットで購入したものなので、握りしめるのはスマートフォンなのですが。QB17 所 亮丞(4年)です。


今年オリンピックは開催されなくても、9月にはついにNFLの開幕です。

今回のブログでは、私が今シーズン最も注目しているQBである、パトリック・マホームズ選手と所属チームが結んだ契約についてお話しようと思います。



フットボール界隈で最も話題になったニュースといえば、やはりカンザスシティ・チーフスとQBパトリック・マホームズがとんでもない大型契約を結んだことでしょう。

マホームズは現在24歳、今年で4年目のシーズンを迎えたところですが、チームと「10年480億円」という契約を結びました。


実はお父様が日本でもプレイ経験のある元プロ野球選手なんです。横浜ベイスターズ(現DeNAベイスターズ)で助っ人として活躍していた頃は、マホームズ自身も日本で暮らしていました。

その後、アメリカへと戻り、高校時代はアメリカンフットボールだけではなく、野球とバスケットボール選手として大活躍していました。二足のわらじならぬ、三足のわらじですね。

高校を卒業する際には、MLB(メジャーリーグ)のデトロイト・タイガースからドラフト指名を受けるほどの怪物でした。


大学へと進学したマホームズは1年目から大活躍し、3年目のシーズンを終えた段階で、4年目をプレイすることなく、NFLへとアーリーエントリーをします。

当然のようにカンザスシティ・チーフスから1巡指名(全体10位)を受け、入団。

ルーキーイヤーはパッとしないものでしたが、2年目は先発QBへと昇格しました。

迎えた3年目、マホームズはサンフランシスコ・フォーティーナイナーズを下し、わずか24歳でスーパーボウル制覇を成し遂げます。



そして、今月の上旬に例の超大型契約を結んだのです。

では、なぜこの契約が全世界の度肝を抜いたのでしょう。


その秘密はまず、この契約の金額にあります。

10年480億円、出来高をプラスすると540億円。気が遠くなるような数字です。

NFLのQBの年俸ランキング、2〜10位の選手の平均が32億円で、2位のマット・ライアンの契約金額は5年180億円なので、それらを遥かに凌ぐ契約であることがわかると思います。


わかりづらいので、日本のスポーツで比較しましょう。日本で最も市場が高いスポーツと言われる野球。

巨人軍こと読売ジャイアンツの全選手の総年俸は44億円です。ちなみに我らが広島東洋カープは31億円。この13億円の差に、僅かながら憤りを感じますが。

日本プロ野球の球団全員とマホームズ1人がほぼ同じくらいの年俸だなんて、驚きですね。


金額の他にもう一つ、この契約の凄まじい点があります。

それは契約年数。

基本的に、長期契約を結ぶメリットは選手にもチームにもあまりありません。


まず、選手の視点から考えましょう。

良い成績を残せば、もちろん多くのチームからオファーが来ます。そうなった場合、その選手の市場価値が高まり、オークションのように契約金額がどんどん上がっていきます。

しかし、長期契約を結んでしまうと、どんなに活躍してもほぼ固定された年俸で同じチームに留まることになるため、このようなチャンスを失ってしまうわけです。


チームからしてみれば、キャップスペース、つまり予算の圧迫が起きてしまいます。

マホームズはもちろん重要な選手ですが、フットボールは1人ではできません。その他の良い選手をチームに残すためには、相応の金額を提示する必要があります。そうなった場合、マホームズの契約金額が大きくチームの予算を圧迫してしまいます。


このような理由から避けられていた超大型契約でしたが、マホームズはわずか24歳でこれをやってのけたわけですから、恐ろしい男です。

ちなみに、10年以上の契約を結んだ選手はNFLに過去5人いますが、フィラデルフィア・イーグルスで活躍したドノバン・マクナブ以外はあまり知られていないでしょう。ニューイングランド・ペイトリオッツでプレイしていたドリュー・ブレッドソーなんて、契約したその年に怪我をしてトム・ブレイディにポジションを奪われていますから。


超大型契約で歴史に名を刻んだパトリック・マホームズ。

今シーズンのNFLは彼の独壇場となるのでしょうか。

手にはスマホではなく、汗を握って観戦したいと思います。



(今回の写真は、「Madden」というアメリカンフットボールのゲーム表紙となっているパトリック・マホームズ。表紙に選ばれた選手のうちのほとんどが、その年のうちに怪我や不振、退団など不幸な目に遭っており、「Maddenの呪い」と恐れられている。しかし、マホームズはその呪いを払拭するようにスーパーボウルを制し、MVPに輝いた。)

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